北朝鮮は9月下旬以降、異例のスピードで弾道ミサイルの発射を繰り返している。年末に向けた政府の防衛力強化の議論では、ミサイル防衛(MD)が最重要課題となっている。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備断念を受けて新たに建造するイージスシステム搭載艦が中心だが、極超音速ミサイルなど中国、ロシア、北朝鮮の新型兵器が現行のMDシステムの侵入を狙うことへの対抗策も焦点になる。
図解 これまでに登場したイージス・アショアの代替案
北朝鮮はここ数日、立て続けに弾道ミサイルを発射し、執拗かつ一方的に挑発をエスカレートさせている」と井野俊郎防衛副大臣は指摘する。井野俊郎防衛副大臣は、北朝鮮が9日午前1時という異例の早朝に弾道ミサイルを発射したことを非難した。北朝鮮は9月25日以降、異例のスピードでミサイル発射を繰り返し、10月4日には5年ぶりに日本上空を通過するミサイルを発射した。10月4日、北朝鮮は5年ぶりに日本上空を通過するミサイルを発射した。
現在、北朝鮮は弾道ミサイル迎撃システムを2段構えにしており、1段目は日本海上でイージス艦から発射する迎撃ミサイル「SM3」、2段目は落下するミサイルを迎撃・迎撃するためのものである。2段目は「地対空誘導弾パトリオット(PAC3)」で、落下してくるミサイルを迎撃する。エンジン推力を利用して低空を飛ぶ巡航ミサイルは「03式改良型中距離地対空誘導弾(中サム)」などで対処する。また、防衛省はSM3やPAC3ミサイルの発射を発表している。
防衛省は、迎撃範囲を広げた改良型SM3やPAC3の配備を進めるとともに、レーダーの性能向上も図っている。防衛省はレーダーシステムの性能向上にも取り組んでいる。イージス・アショアに配備される予定だった新型レーダーを搭載した新造船は、基準排水量2万トン、全長約210メートル、全幅約40メートルで、「過去最大の艦船」となる予定だ。過去最大級」(防衛省関係者)となる。
その大きさを生かし、垂直発射システム(VLS)などを大量に搭載する。敵のミサイル射程外から発射できる長距離ミサイル「スタンドオフミサイル」など、あらゆるミサイルを搭載したMDシステムの基盤として活用される予定だ。2024年度に着工し、1997年に1番艦、2010年に2番艦の就役を予定している。
しかし、MDを強化しても、北朝鮮などが開発する極超音速滑空兵器(HGV)への対処は困難である。マッハ5(音速の5倍)以上で飛行するHGVは、レーダーが探知しにくく、不規則な軌道を描くため迎撃が難しい。北朝鮮が6日に発射した弾道ミサイルの種類は不明だが、低高度で不規則な軌道を描いて発射されたとみられている。
防衛省は来年度予算概算要求に「HGV対策研究」を盛り込み、年末にかけて金額を示さない「物品要求」として追加する方針だ。HGVへの対応力だけでなく、敵の拠点を攻撃する能力を持つことで敵に攻撃を躊躇させる「反撃力」は喫緊の課題である。